日本画・本画・素描とは

平山郁夫が手掛けた日本画とはどんなものか・・・ご紹介いたしましょう。 明治時代に、西洋からもたらされた油彩画「洋画」に対して、日本の伝統的絵画を「日本画」と呼びます。

「日本画」は絹や和紙の上に描きますが、使うのは岩絵具。鉱石を細かく砕いた粒を膠で溶いた顔料で、天然の素材のため、高価なものもあります。たとえば青色には藍銅鉱、緑色に用いるのは孔雀石。粒子が粗いものはより色が濃く、細かいものは淡く発色します。
日本画の中で、この岩絵具によって彩色された作品のことを示すのが、「本画」。平山の本画はその重厚な塗り重ねの美しさに特色があります。

一方、「素描」とは、和紙に墨で線を描き、水彩絵具で色を付けた作品のこと。いずれも日本画の伝統的な手法ですが、素描は本画と違ってにじみ止めをしていない紙を使います。墨で一気に描線を描き、にじみを利用して彩色されるので、画家の一瞬一瞬の筆遣いをそのまま見ることができるのです。