駱駝・胡人俑  中国、8世紀、陶製

顔を上げ、まるでいなないているかのような唐三彩の駱駝。中央アジアやモンゴルなどに生息する双瘤型です。背中には、白・黄・緑の三色で彩られた敷物。そして瘤の間には、獣もしくは鬼の顔の付いた荷駄袋を提げています。

駱駝を牽く人物は西域のひと、胡人です。落ち窪んだ眼に高い鼻、縮れた長い髭。襟のある筒袖の衣にブーツといった、遊牧民族の衣装をまとっています。こうした駱駝や胡人の像は、お墓に納められたものでした。このような造形も、唐の都・国際都市長安の人たちのシルクロードへのあこがれを今に伝えています。

「砂漠の舟」と呼ばれる駱駝は、シルクロードでは欠かすことのできない、貴重な移動手段。駱駝のキャラバンが東西の壮大な交流を支えていたのです。